速い返信が「熱心さ」に見えるとは限らない
テキストで話していると、返信が早い相手ほど自分に関心を持ってくれているように感じます。逆に間が空くと、つまらない話をしてしまったのではないかと考えます。けれど画面の向こうで起きていることは、こちらからは何も見えません。文章を三度書き直しているのかもしれませんし、火にかけた鍋を見に行ったのかもしれません。返信の速さは気持ちの量ではなく、そのときの手の空き具合を映しているだけです。
それでも人は速さから何かを読み取ってしまうので、自分が送る側になったときには、誤解が起きにくい書き方を選ぶことができます。たとえば、答えをまとめるのに時間がかかりそうなときに「少し考えます」と一行だけ先に送る。それだけで、相手は待ち時間を無視ではなく作業中として受け取ります。
長さと速さは、釣り合わせると楽になる
会話の調子が崩れるのは、速さそのものよりも長さの差からであることが多いです。相手が一行で返しているところに毎回十行の返事を書けば、相手は同じだけ返さなければという気持ちになり、だんだん返信が重くなります。反対に、相手が時間をかけて長く書いた直後に「なるほど」とだけ返すと、読み飛ばされたように見えます。
おおまかな目安として、相手の文章の半分から倍くらいの幅に収めると、呼吸が合いやすくなります。どうしても長く書きたいときは、先に「長くなります」と断っておくか、二つに分けて送り、相手が口を挟める隙間を作っておくといいでしょう。
待っている間、相手は何かを想像している
入力中の表示が出たり消えたりするのを見ていると、相手が書いては消しているのが分かって、落ち着かない気持ちになります。実際には、言い方を選んでいるだけのことがほとんどです。そこで先回りして「変なこと言いましたか」と尋ねると、相手は釈明から始めることになり、話の流れが止まってしまいます。
返事が来ない時間に、人は自分にとって都合の悪い説明を当てはめがちです。催促の代わりに、話題を一つ足しておくという手があります。「さっきの話、自分はこう思っていました」と付け加えておけば、相手は答えやすいほうから拾えますし、沈黙にも意味が減ります。
自分の速度を、先に伝えておく
返信が遅くなりがちな人は、会話の初めに「途中で返事が飛ぶことがあります」と一言添えておくと、後の説明がいらなくなります。逆に、速いやり取りが好きな人も、それを伝えておいたほうが正直です。言葉にしておけば、遅れが冷たさとして読まれることはなくなります。
そして、速度は相性の一部です。ゆっくり考えて書きたい人と、短い言葉を次々に交わしたい人では、どちらが正しいということはありません。無理に合わせ続けると、どちらかが疲れます。合わないと感じたら、それを欠点として受け取らず、そういう組み合わせだったと考えて、静かに切り上げるほうが後味はよくなります。